Japanische Klassiker mit Furigana
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わらうあくま
笑う悪魔
野村 胡堂
Lesen Sie 笑う悪魔 (わらうあくま) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.687 Zeichen · 55 Bildschirme
「これでも、美保子さんは何んにも知らないと言えるだろうか、――僕の想像では、熊谷三郎兵衛の令嬢奈々子さんは、曲者に暴力でさらわれたのでは無くて、変装して堂々とあの部屋から出て行き、お客様に交って玄関から外へ出たに違いないと思う。どうだ、千種君」
「僕はわからぬ――、残念乍ら少しもわからないよ」
「これ丈けの証拠を挙げて、僕は美保子さんを問い詰めたよ、――幸いこの二三日は元気になって、もう大丈夫と、院長から許可を得たのだ」
「残酷じゃないか」
千種十次郎は勃然として肩を聳やかしました。
「いや、残酷ではない、これは僕に許された権利の遂行に過ぎない、そして法の神聖のために、美保子さんに真実を語ってもらわなければならぬ」
「美保子さんはそれに何んと答えた」
「困ったことに口を噤んで、その事に関する限り、絶対に説明してくれないのだ」
「――――」
千種十次郎は何んとはなしにホッとした様子です。
「併し、口を喋んだからと言って、左様でございますかと引下るわけに行かない。僕はいろいろ訊き試みた、美保子さんの健康の許す限り、条理を尽して三日間に亘って説いた積りだ。その結果美保子さんも大に心が動いて、言い憎いことではあるが、社会正義のため、――君、即ち千種十次郎君立ち会いの上で、明日の午前十時に、知って居るだけのことを打ちあけようという