Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにこんにゃくぼん
第二菎蒻本
泉 鏡花
Lesen Sie 第二菎蒻本 (だいにこんにゃくぼん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.739 Zeichen · 32 Bildschirme
。急な雨の混雑はまた夥しい。江戸中の人を箱詰にする体裁。不見識なのはもちに捏ちられた蠅の形で、窓にも踏台にも、べたべたと手足をあがいて附着く。
電車は見る見る中に黒く幅ったくなって、三台五台、群衆を押離すがごとく雨に洗い落したそうに軋んで出る。それをも厭わない浅間しさで、児を抱いた洋服がやっと手を縋って乗掛けた処を、鉄棒で払わぬばかり車掌の手で突離された。よろめくと帽子が飛んで、小児がぎゃっと悲鳴を揚げた。
この発奮に、
「乗るものか。」
濡れるなら濡れろ、で、奮然として駈出したが。
仲見世から本堂までは、もう人気もなく、雨は勝手に降って音も寂寞としたその中を、一思いに仁王門も抜けて、御堂の石畳を右へついて廻廊の欄干を三階のように見ながら、廂の頼母しさを親船の舳のように仰いで、沫を避けつつ、吻と息。
濡れた帽子を階段擬宝珠に預けて、瀬多の橋に夕暮れた一人旅という姿で、茫然としてしばらく彳む。……
風が出て、雨は冷々として小留むらしい。
雫で、不気味さに、まくっていた袖をおろして、しっとりとある襟を掻合す。この陽気なればこそ、蒸暑ければ必定雷鳴が加わるのであった。