Japanische Klassiker mit Furigana
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そろばんがこいをかたるはなし
算盤が恋を語る話
江戸川 乱歩
Lesen Sie 算盤が恋を語る話 (そろばんがこいをかたるはなし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.096 Zeichen · 16 Bildschirme
それを始終やっているものですから、会計部のものはアイウエオ五十音の位置を、もう空んじているのです。たとえば「野崎」といえば五行目(ナ行)の第五番という風にすぐ頭に浮ぶのです。
Tはこれを逆に応用して、算盤に表わした数字によって簡単な暗号通信をやろうとしたのです。つまり、ノの字を現わす為には五十五と算盤をおけばよいのです。それがのべつに続いていては一寸分りにくいかも知れませんけれど、よく見ている内には、日頃おなじみの数ですから、いつか気づく時があるに相違ありません。
では彼はS子にどういう言葉を通信したか、試みにそれを解いて見ましょうか。
十二億は一行目(ア行)の第二字という意味ですからイです。四千五百は四行目(タ行)の第五字ですからトです。同様にして三十二万はシ、二千二百はキ、二十二円もキ、七十二銭はミです。即ち「いとしききみ」となります。
「愛しき君」若しこれを口にしたり、文章に書くのでしたら、Tには恥しくてとても出来なかったでしょうが、こういう風に算盤におくのなれば平気です。他のものに悟られた場合には、ナニ偶然算盤の玉がそんな風に並んでいたんだといい抜けることが出来ます。