Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「もん」

「紋」

黒島 伝治

Lesen Sie 「紋」 (「もん」) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.739 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

四五日、捨てる、捨てないで、云いあった後、ばあさんは、一日をつぶして、猫を手籠に入れて捨てに行った。近くだとすぐ帰って来るので、遠く向うの漁村まで行った。

夜、じいさんは、夜なべに草履を作っていた。ばあさんは、長途を往復した疲れでぐったり坐っていた。秋の夜風が戸外の杏の枝を揺がしていた。雁の音がかすかに聞えて来る。

と、戸外で「紋」のなく声がした。物乞うように続けてないた。

「戻って来たんかいな。」居眠りをしていたばあさんは、ふと眼を開けた。

「うむ、戻ってきたわイ。」じいさんは不服そうに云った。「内へ入れずに放っとけ!」

障子は閉め切ってあった。「紋」は入口がないので、家の周囲をぐる/\廻って鳴いた。

「可愛そうに、入れてやろうか。」ばあさんは立ちかけた。

「えゝい、放っとけ。」

「障子でも破って入って来たら、あとで手がいるがの。」

入口を開けてやると、「紋」はなつかしそうに、ばあさんの足もとにざれついた。

「そら、腹が減ったじゃろう。……よそでぬすっとやかいするんじゃないぞ!」とばあさんは麦飯を椀に入れてやった。

「猫を放った云うて、嘘の皮じゃ。まだ、ひろ/\してやがら。