Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
で東京を立って来た。そして大阪で乗り換えて阪神の蘆屋で下りると、工合よく自動車があったので、六時少し前に幸子姉の家に着いた。
「いらっしゃいませ」
出て来たお春に衣裳鞄を渡すと、そのまま応接間へ這入って行ったが、家の中がひっそりしているけはいなので、
「中姉ちゃんいたはるのん」
お春は扇風機の風を雪子の方へ向けながら、
「はあ、あの、ちょっとシュトルツさんのお宅まで、―――」
「悦ちゃんは」
「お嬢ちゃんもこいさんも、―――皆さん今日はシュトルツさんへお茶に呼ばれていらっしゃいました。もうお帰りになる時分でございますけど、お呼びして参りましょう」
「ええわ、放っときなさい」
「それでも今日あたりおいでになるやろう仰っしゃって、お嬢ちゃんがえらいお待ち兼ねでございましたよってに、ちょっとお呼びして、―――」
「好え、好え、放っといて、お春どん」
ついシュトルツ家の裏庭の方で、子供たちの声がしているのでお春が呼びに行こうとするのを、雪子は止めて、ひとりテラスの葭簀張の下へ出て、白樺の椅子に掛けた。
さっき此処へ来る途々、自動車の窓からちらと見ただけでも、業平橋附近の惨状が想像以上であったのに彼女は驚いたのであったが、こうして此処を眺めた感じは昔の通りで、一木一草も損われてはいない。