Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
或る日のこと、境界の植込みの繁みの方で、
「エツコさん、御機嫌よう!」
と、ローゼマリーが日本語で云うと、
「アウフ、ウィーダアゼーエン!」
と、悦子が独逸語で云い、
「ハンブルクへ行ったらきっと手紙下さいね」
「エツコさんも手紙下さい!」
「ええ、上げます、きっと、きっと!………ペータアさんに何卒宜しく!」
「エツコさん、………」
「ルミーさん、フリッツさん、………」
と呼び合う声がしていたかと思うと、突然「ドイッチュラント、ユーベル、アルレス」の合唱が、ローゼマリーとフリッツの声で聞え始めた。幸子がテラスへ出て見ると、青桐の幹の程よい高さの所に姉娘と弟の幼童とが登って、枝の上に立ってハンカチを振っている下で、悦子がそれに答えながら、船出の光景を演じているのであった。
「まあ」
幸子も早速青桐の下へ駈けて行って、
「ルミーさん、フリッツさん、………」
と云いながら、埠頭に立った心持でハンカチを振った。
「エツコさんのママさん、アウフ、ウィーダアゼーエン!」
「アウフ、ウィーダアゼーエン! 御機嫌ようルミーさん、きっと又日本へいらっしゃいね」
「エツコさんのママさん、エツコさん、ハンブルクへ来て下さい」