Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
そして幸子が隅の方に、床板に直かに座布団を敷き、光琳菊の蒔絵のある本間の琴を横たえて坐っていた。
「何ぞ始まってるらしい思うたわ。………」
雪子は、大嶋の二枚襲の裾からメリヤスのパッチを覗かせながら長椅子に掛けて見物している貞之助に、軽く目礼をしてから云った。
「………遠くからお琴の音が聞えてたよってに。………」
「雪子ちゃん何とも云うて来えへんのんで、どないするのんか思うててん。………」
幸子は絃の上に琴爪を篏めた手を載せたまま、あれからざっと半年間会わなかった雪子の様子を見上げたが、内気なようで花やかなことの好きなこの妹が、汽車で疲れたらしい青い顔をして這入って来て、この光景に出遇った今、急に眼元を綻ばしたのを見逃さなかった。
「姉ちゃん、『つばめ』で来たのん」
と、悦子が聞いたが、雪子はそれには答えないで、
「その頭、鬘やのん」
と、妙子に云った。
「ふん、今日ようよう出来て来てん」
「よう似合うわ、こいさん」
「この鬘、あたしも時々髷に結うて被らして貰おう思うて、こいさんと共同で拵えてん」
「よろしかったら、雪姉ちゃんにも貸したげるわ」
「お嫁入りの時に被りなさい」