Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

「―――痛いッ、痛いッ、痛いッ、―――」

「痛うても仕方ない、辛抱しなさい」

「痛いッ、痛いッ、―――触ったらあかん、触ったら、―――」

「辛抱しなさい、こうせなんだらおしっこ出来んやないか」

幸子は、あの板倉の何処を押せばこう云う卑屈な音が出るのかと、不思議な気がして、又改めて病人の姿をしげしげと眺めた。病人は左の脚の位置を一尺ほど変え、体を少し仰向けにひねらせるのに二三分を要した。そして、姿勢が極まったところで暫く沈黙して息づかいを整え、呼吸の静まるのを待って用を弁じたが、そうしながら、ぽかんと口を開けて、嘗て見たことのない怯懦な眼つきをして、その辺にいる人達の顔をジロジロ見廻した。

「何ぞ、食べはりますのん」

と、幸子が母親に聞いた。

「それがなあ、ちょっとも食べませんのんで、………」

「レモネエドばかり飲むねんわ。そやよってにおしっこが出るねん」

幸子は、病人の痛む方の脚が毛布の間から出ているのを見た。実際それは何の変ったところもあるようではなく、ただ少しばかり血管が怒張して青く透いて見えるだけであったが、それも幸子の気のせいかも知れなかった。病人は又、姿勢をもとへ戻すのに前にも劣らぬ騒ぎ方をしたが、今度は「痛い痛い」