Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
海の中にあるらしく思える。彼女が洋裁学院へ行く時は、国道の津知まで歩いて出て、そこからバスで行くのであるが、そう云えばさっきお宅のこいさんが国道の方へ下りて行かはるのと、僕そこで擦れ違いました、青いレインコート着たはりましたな、あの時刻に出かけはったんやったら、向うへ着かはってから間もなく水が出たぐらいやったかも知れません、小学校よりも野寄の方がずっと心配でっせと、運転手も云うのである。幸子は何と云う訳もなしに慌てて門の内へ駈け込みながら力一杯の声で、
「お春どん」
と呼んで見たが、お春どんは旦那様のあとから出て行ったきりまだ帰って来ませんと云う。途端に幸子は子供のように顔を歪めて泣き出してしまった。
お秋とお花とがびっくりしたように黙って泣き顔を視詰めているので、少しきまりが悪くなって応接間からテラスへ逃げて来て、まだしくしくとり上げながら、幸子が庭の芝生の方へ降りて行った時であった。シュトルツ夫人が境界の金網の上から首を出して、これも青ざめた顔をしながら、
「奥さん」
と呼んだ。
「奥さん、あなたの旦那さんどうしましたか。エツコさんの学校どうですか」
「わたしの旦那さん、今悦子を迎えに行きました。