Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女は学校の廊下で悦子の無事な姿を見ると、お嬢ちゃん、と、泥まみれの着物で獅噛み着いて周囲の人々をびっくりさせたが、帰りには彼女が流れの先頭を切って、貞之助を庇うようにしながら行った。と云うのは、来た時よりも水が又一二寸殖え、水勢も強くなっていたので、貞之助は短い区間ではあったが、悦子を背負わなければならなかった。ところが背負ってみるととても歩きにくく、忽ち足を取られそうになるので、お春が激しい水の勢を体で割いて進んで行くその蔭に添いながら行くのでなければ、危険で一歩も足が出なかった。先頭を切るお春の方も、深い所では腰の辺まで漬かってしまうので、容易なことではなかった。水は北から南へ向って落ちつつあるので、東西の道路を西へ向って行くようにしたが、二三箇所で四つ辻を横切った時が最も緊張を要した。或る所では綱が渡してあったのでそれに掴まって渡り、或る所では警戒中の自警団員が助けてくれたが、或る一箇所では何もそう云う便宜がなかったので、二人は体をぴったりと寄せ合い、お春の衝いている蝙蝠傘を力と頼んで、辛うじて渡った。

幸子はそれでも、悦子の無事を喜んだり夫やお春に感謝したりする余裕などはなかった。