Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

何のためのお習字かと云うと、名古屋で辰雄の実家を始め親戚廻りをして、方々でもてなしに与ったについて、その家々へ礼状をしたためなければならないのであるが、それが姉には大仕事なのである。殊に辰雄の嫂に当る人、―――実家の兄の妻と云うのが、字の上手な婦人なので、それに負けないように書きましょうと思うと、一層気が張るのであろう、いつも、名古屋の義姉に手紙を書こうと云う時は、字引や書翰文範を机の左右に置き、草書のくずし方一つでもにならぬように調べ、言葉づかいにも念を入れて、幾度か下書きをすると云う風にして、一本の手紙を一日がかりで書くのであるが、まして今度は五六本も書くのであるから、下書きだけでも容易に出来上らないで、お稽古に日を暮している。そして、雪子ちゃん、これでええやろか、何ぞ書き洩らしてえへんやろかと、雪子にまで下書きを見せて相談をする始末なので、今日雪子が出て来る時までには、やっと一通しか書き上っていなかった。と云うのである。

「何せ姉ちゃんは、重役さんの家へ挨拶に行く時かて、二三日も前から口上の言葉を口の中で暗誦して、独りごとにまで云うぐらいやさかいにな」