Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
「僕さっきからこいさんに気がついていたんですが、―――」
と、関原は直ぐ「妙子さん」を止めて昔の「こいさん」と云う呼び方に戻りながら、
「―――随分久し振りですなあ、最後にお目に懸ってから何年になるかなあ」
「このたびは又、御無事に帰朝なさいましてお目出とうございます」
「はあ、有難う。実は今、プラットフォームでちらとお見かけして、たしかにこいさんに違いないと思ったんですが、それにしてはあんまりお若く見えたもんだから、………」
「うふ、ふ、ふ」
と、妙子はさっきと同じように胡麻化し笑いをした。
「それじゃ、蒔岡君と一緒に汽車に乗っておられたのが、雪子ちゃんですな」
「はあ」
「僕はつい挨拶をしそびれちまったんだが、………お二人とも実にお若いことですなあ。こんなことを云っちゃ失礼ですが、僕は彼方にいる時分にも、始終船場時代のことを思い出しましてね。今度帰って来る時も、もう雪子ちゃんは勿論として、多分こいさんも結婚してしまわれただろう、そしていい奥さんやお母さんになっておられるだろうと思っていたんですが、蒔岡君からまだお二人ともお嬢さんでおられると聞いた時は、何だかこう、自分が五六年も日本を離れていたと云うことがのような、長い夢を見ていたような、………こんなことを云っちゃ悪いかも知れませんが、不思議な気がしましてね。