Japanische Klassiker mit Furigana
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じらいやのはなし
綺堂随筆 江戸の思い出
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂随筆 江戸の思い出 (じらいやのはなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.924 Zeichen · 14 Bildschirme
これでこの方の埒があいて、獄卒は自分の家へ帰ると、その妻は待ち兼ねたように話した。
「ゆうべ夜なかに門をたたく者があるので、あなたが帰ったのかと思って門をあけると、誰だか知らない人が二つの布嚢をかついで来て、黙って投り込んで行きました。なんだろうと思って検めてみると、嚢のなかには金銀が一杯詰め込んでありました。」
獄卒は覚った。
「よし、よし、こんなことは誰にも云うなよ。」
それから間もなく、獄卒は病気を云い立てに辞職して、その金銀で一生を安楽に送った。我来也はそれから何うしたか判らない。獄卒のせがれは放蕩者で、両親のない後にその遺産をすっかり遣い果してしまった。
「おれの身代はもともと悪銭で出来たのだから、こうなるのが当りまえだ。」と、その伜が初めて昔の秘密を他人に明かした。
支那の我来也は先ずこういう筋である。日本でこの我来也を有名にしたのは、感和亭鬼武が最初であるらしい。鬼武は本名を前野曼助といい、以前は某藩侯の家来であったが、後に仕を辞して飯田町に住み、更に浅草の姥ヶ池のほとりに住んでいたという。かれの著作は沢山あるが、そのなかで第一の当り作は「自来也物語」