Japanische Klassiker mit Furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme
たことがある。一方にはそんなしおらしいことを言って、また一方では偽筆を書く、僕のその時の矛盾は――あとから見れば――はなはだしいもので、もう、ほとんど全く目が暗んでいたのだろう。
吉弥は、自分に取っては、最も多くの世話を受けている青木をも、あたまから見くびっていたのだから、平気で僕の筆を利用しようとした。それをもって綺麗に井筒屋を出る手つづきをさせようとしたのは翌朝のことであるが、そう早くは成功しなかった。
僕が昼飯を喰っている時、吉弥は僕のところへやって来て、飯の給仕をしてくれながら太い指にきらめいている宝石入りの指輪を嬉しそうにいじくっていた。
「どうしたんだ?」僕はいぶかった。
「人質に取ってやったの」
「おッ母さんの手紙がばれたんだろう――?」
「いいえ、ゆうべこれ(と、鼻をゆびさしながら)に負けたんで、現金がないと、さ」
「馬鹿野郎! だまされていやアがる」僕は僕のことでも頼んで出来なかったものを責めるような気になっていた。
「本統よ、そんなにうそがつける男じゃアないの」
「のろけていやがれ、おめえはよッぽどうすのろ芸者だ。――どれ、見せろ」
「よッぽどするでしょう?」