Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、その後も、毎日または隔日には必らず会っている様子だ。こうなれば、男の方ではだんだん焼けッ腹になって来る上、吉弥の勘定通り、ますます思いきれなくなるのは事実だ。それに、ある日、吉弥が僕の二階の窓から外をながめていた時、

「ちょいと、ちょいと」と、手招ぎをしたので、僕は首を出して、

「なんだ」と、大きな声を出した。

「静かにおしよ」と、かの女は僕を制して、「あれが田島よ」と、小声。

なるほど、ちょっと小意気だが、にやけたような男の通って行くよこ顔が見えた。男ッぷりがいいとはかねて聴かされていたが、色の白い、肌のすべすべしていそうな男であった。その時、僕は、毛穴の立っているおからす芸者を男にしてしまっても、田島を女にして見たいと思ったくらいだから、僕以前はもちろん、今とても、吉弥が実際かれと無関係でいるとは信じられなくなった。どうせ、貞操などをかれこれ言うべきものでないのはもちろんのことだが、青木と田島とが出来ているのに僕を受け、また僕と青木とがあるのに田島を棄てないなどと考えて来ると、ひいき目があるだけに、僕は旅芸者の腑甲斐なさをつくづく思いやったのである。