Japanische Klassiker mit Furigana
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おに
聴雨・蛍 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.483 Zeichen · 41 Bildschirme
「からかっちゃ困るよ。闇屋に二千円借りたんだが、その金がないんだ」
「二千円ぐらいの金がない君でもなかろう。世間じゃ君が十万円ためたと言ってるぜ」
「へえ? 本当か?」
びっくりしていた。
「十万円あれば、高利貸に二千円借りる必要はなかろうじゃないか。デマだよ」
「十万円は定期で預けていて、引き出せんのじゃないかね」
「しつこいね。僕は生れてから今日まで、銀行へ金を預けたためしはないんだ。銀行へ預ける身分になりたいとは女房の生涯の願いだったが、遂に銀行の通帳も見ずに死んでしまったよ」
「ふーん」
私は半信半疑だったが、
「――二千円で何を買ったんだ」
「煙草だ」
「見たところよく吸うようだが、日に何本吸うんだ」
「日によって違うが、徹夜で仕事すると、七八十本は確実だね。人にもくれてやるから、百本になる日もある」
「一本二円として、一日二百円か。月にして六千円……」
私は唸った。
「それだけ全部闇屋に払うのか」
「いや、配給もあるし、ない時は吸殻をパイプで吸うし、しかし二千円はまず吸うかな」
「じゃ、いくら稼いでも皆煙にしてしまうわけだ。少し減らしたらどうだ」
「そう思ってるんだが、仕事をはじめると、つい夢中で吸ってしまう。