Japanische Klassiker mit Furigana
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おに
聴雨・蛍 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.483 Zeichen · 41 Bildschirme
例えば冠婚葬祭の義理は平気で欠かしてしまう。身内の者が危篤だという電報が来ても、仕事が終らぬうちは、腰を上げようとしない。極端だと人は思うかも知れないが、細君が死んだその葬式の日、近所への挨拶廻りは、親戚の者にたのんで、原稿を書いていたという。随分細君には惚れていたのだが、その納骨を二年も放って置いて、いまだにそれを済ませないというズボラさである。
仕事は熱心だから、仕事だけはズボラでない筈だが、しかし書き上げてしまうと、綴じて送ったためしはない。読み返すこともしないらしく、送った原稿が一枚抜けていたりすることも再三あった。二枚ぐらいの短かい随筆で、最初は「私」と書いているのに、終りの方では「僕」になったりしている。連載物など、前に掲載した分を読み返すか、主要人物の姓名の控えを取って置けば間違いはないのに、それをしないものだから、平気で人名を変えたりしている。それに驚くべきことだが、字引を引いたことがないという。第一字引というものを持っていない。引くのが面倒くさいので、買わぬらしい。
「字引を持たぬ小説家はまア君一人だろう」
私は呆れた。
一事が万事、非常なズボラさだ。