Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうどく
聴雨・螢 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・螢 織田作之助短篇集 (ちゅうどく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.162 Zeichen · 37 Bildschirme
寿子にとっては昨日までの叔母が急に継母に変ったわけである。
もとは叔母姪の間柄であったから、さすがに礼子は世の継母のように寿子に辛く当ろうとはしなかった。むしろ、良い母親といってもよかった。
しかし、夫の庄之助が今日この頃のように明けても暮れても寿子にかまけていて、礼子自身腹を痛めた弟や妹たちとはくらべものにならぬ位、寿子に熱中しているのを見ると、さすがに礼子はいい気はしなかった。おまけに、庄之助が寿子相手の稽古に没頭して、自分の仕事を顧みなくなってからは、家の暮しが一層困って来ているのを思うと、礼子ももはや寿子の良い母親になっているわけにはいかず、いつか継母じみて来るのだった。
というそんな微妙な事情を、寿子はさすがに継子の本能で、敏感に嗅ぎつけていたから、自分の眠れないことよりも、まず自分のヴァイオリンが母親の眠りを邪魔をしていることの辛さが先立つのだった。
だから、早いこと巧く弾いて、父親から「出来た」と言われようと焦るのだったが、思うように弾けなかった。
夜が更けて来た。
寿子はわっと泣き出したかった。が、泣くまいと堪えていたのは、生れつきの勝気な気性であったろうか。