Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうどく
聴雨・螢 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・螢 織田作之助短篇集 (ちゅうどく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.162 Zeichen · 37 Bildschirme
音楽家はそれらの人々の私腹を肥すことに努力することによって、辛うじて演奏にありついて来たのである。
ところが、相手はそんな庄之助を見て、あっけに取られてしまった。
「さすが大阪の奴は、金のことにかけると汚いわい」
と、思ってみたり、また、
「こいつ、娘の成功に逆上して、可哀相に気が変になってしまったのか」
と、考えてもみたが、結局は、何が何だかさっぱり訳が判らなかった。
ただ、はっきり判ったことは、何だか腹の立つ男だということであった。で、相手は当然の如く、カンカンになって引き下った。
演奏会の話も、レコード吹き込みの話も、そして映画出演の話も、こうして、すべて立ち消えになってしまった。
やがて、父娘は大阪行きの汽車に乗った。車窓に富士が見えた。
「ああ、富士山!」
寿子は窓から首を出しながら、こうして汽車に乗っている間は、ヴァイオリンの稽古をしなくてもいい、今日一日だけは自分は自由だと思うと、さすがに子供心にはしゃいで、
「富士は日本一の山……」
と、歌うように言った。
「富士は日本一の山か。そうか」
と、庄之助は微笑したが、やがて急にきっとした顔になると、