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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょっこうとびしょう

職工と微笑

松永 延造

Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

いや、そうではない。その事にも既に原因があった。私よ、驚くな。皆云って了う。私はミサ子と結婚する以前に、彼の女を妻のようにもてなした覚えは確かにない。断言する。それから彼の女が櫛を盗んだ時、彼の女は我々の知らない特別の週間の中に居たのである。だのに、何うしたのか。それを云うのがつらいのである。彼の女は私と四ヶ月同棲した時、妊娠六ヶ月位になっていたではないか! 之が潔癖な昔堅気な、そして士族の娘であった私の母を此の上もなく不快にし、喧嘩の素を造ったのである。元より、私は三つ許した次手に、四つでも五つでもミサ子の過失を許そうと心掛けていたのであるが、母はもう到頭我慢がし切れなくなり、自分から自分に敗けて怒りを発して了ったのである。

「お前……」と母は私を蔭へ呼んで尋ねた、「お前、結婚前にも、その覚えがあるのですか?」辛い質問! そして痛い思い出が此処から初まる!

ああ、私は何と云う機智と奇才のない鈍物であったろう。「いいえ、」と云う正直な答えより他には、一寸好い思い附きもなかったのである。私が悪い、もうそれに相違ない。ミサ子を許そうと心掛けているなら、何故、あらゆる点に心を細かく働かして、許すための計らいをするように努力出来ないのか? 私は自分を叱り、自分を噛み破っているのだ。