Japanische Klassiker mit Furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme
さっき迄意地悪くしていた子供は大変嬉し相に飛び立った。そうして、自分の家の鳩へ、他所の犬をけしかけるのをやめた。
子供は何かしら三つ許りの歌を一緒に混ぜて歌い乍ら、庭に落ちている鳩の抜け羽を拾って遊んだ。
「斯んなにして、毎日羽をためたら、今に妹の枕が出来ようか?」と子供は母と覚しき女性に尋ねた。
「丹精にしていれば、出来相もないと思われた色々の事さえ、思いがけぬ程早く出来るものだ。」と母らしい人は答えた。
此の有様を巣の入口で眺めて居たのは年をとった一羽の鳩であった。
鳩……この小さい脳髄は何を考えて居たであろう。鳩は何度か首を傾け、あたりに犬の居ないのを確めて後、恐らく次のように鳴いた。
「自分の惜しく思う品を、思い切って人に与えても、その品を人が自分と同じように大切にしているのを知る事は、何とも云えない喜びである。」
我々は思い出す。自動車に乗った、さっきの母子は、唯街路の一角を通ったに過ぎなかった。けれども、その影は運転手の手紙と共に、田舎へ走り、老いた農民のもとに居り、転んで起きられぬ子供のそば近く歩み、鳩の巣のほとりに、思い深くもたたずんだのである。