Japanische Klassiker mit Furigana
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わかとのじょなんき
若殿女難記
山本 周五郎
Lesen Sie 若殿女難記 (わかとのじょなんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.611 Zeichen · 45 Bildschirme
こんな所へ来る侍はたいてい足軽か精ぜいお徒士と定ったものだが、その客は着ている物も立派だしずばぬけた美男で、おまけに恐ろしく金放れがいい。年は二十四五だろう。初めて相手に出た朴訥な令嬢はすっかり魅惑されて、
「まあ嬉しく好い男っぷりだこと、おらあ商べえ気を忘れたあよう」こう云いざま受取った金をすばやく帯へ押込み、客の腕を思いっきり捻りあげたくらいである。「まるでお大名の若殿みてえだ、おらの他に浮気でもしたら、眼のくり玉へ金火箸をぶっ通すだぞ」
「はっはっは、お大名の若殿か」その客はこう笑って握り拳で鼻をこすり、「案外そうかも知れねえ」と顎を撫でた。
三晩四晩と続けて来る、表の暗がりに必ず誰か待っていて、頃をみはからっては伴れて帰る。
「お友達なら一緒に伴れて来なあよ」
襟がみを取ってこう揺すぶったら、
「あれあ家来だ」と済ましている。
「四斗樽の尻を抜くような法螺をこくでねえ、面あこそ生っ白くて若殿みてえだが、なんかの時にあ折助より下司なもの好みをするだあ、家来持ちが聞いて呆れるだよ、この脚気病みの馬喰め」
「なにを吐かす、うぬこそ裾っぱりで灰汁のえごい、ひっ限りなしで後せがみで、飽くことなしの止すとき知らず、夜昼なしの十二刻あまだ」