Japanische Klassiker mit Furigana
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クーリーがしらのひょうじょう
苦力頭の表情
里村 欣三
Lesen Sie 苦力頭の表情 (クーリーがしらのひょうじょう) von 里村 欣三 (さとむらきんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.583 Zeichen · 18 Bildschirme
おまき婆が言うように不義な恋から生みつけられた俺にしろ、父は父であるべき筈だ。俺は常に父親を思う――だが父親は俺を子と知らずに、世の中の人達と同じく俺を虐げてはいまいか。そして俺が考えるように父親は俺から遠く離れたところに居るのではなく、案外に俺の間近かで交渉のある人であるかも知れない――こう考えると遂に俺は人を憎めなくなる。人を憎もうとすればその顔が父になり、また反対に愛そうとする顔は冷酷な他人の顔に早変りする。実に奇怪な錯覚である。俺がテロリストにもなれず、また人道主義者にもなれないのはこのためだ! 俺は常に、憎むべき者を憎み得ず、また愛すべきものを愛し得ない悩みに悶える。この悩みがまた常に錯覚を伴う――。
――俺は女を抱いて、しみじみ母親の愛を感じていた。……
言葉を知らない女は、ただ笑って、俺を行為で愛撫するより仕方がなかったのだろう。それが俺に更に、母親の慈愛を錯覚せしめた。俺は夢のように三日三夜を女の懐の中で暮らした。
三日目の朝、女は俺の財布を振って外を指した。財布の底はコトリとも音をたてなかった。俺は悲しい眼差で女をみた。が、女は笑おうともしなかった。