Japanische Klassiker mit Furigana
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クーリーがしらのひょうじょう
苦力頭の表情
里村 欣三
Lesen Sie 苦力頭の表情 (クーリーがしらのひょうじょう) von 里村 欣三 (さとむらきんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.583 Zeichen · 18 Bildschirme
俺は遂に、うまうまと欺かれた俺を知った。泣きも泣けもしない気持であった。
窓には、曠原のバラ色の朝焼が映っていた。女の寝不足な、白粉落ちのした顔は、俺にへドを催させた。年増女に不似合な緑色のリボン、水色の洋服、どうみたって淫売婦だ! 俺はこう云う女に三日三晩も抱きつかれていい気になって母親の夢をみていたことを悔いた。畜生! 俺はこう心に叫ぶと、女を尻眼にかけて淫売宿をオン出た。
眼がさめると夕暮であつた。五月というのに薄寒かった。
俺は支那街の、薄汚い豚の骨や硝子のカケラの転がった空地に寝込んでいたのだ。さんざ歩きとばしたことだけが思い出せた。みると俺の周囲に得体の知れない薄気味の悪い支那人が輪になって、何か声高く饒舌っていた。
――安心しろ、まだ野倒死はしないよ――俺はこう思って、笑った。支邦人の輪が遠のいた。腹の空いたことが解った。考えてみると淫売宿で三日三晩ろくすっぽ飯も喰っていなかった。――どうしよう――と、思ったが、扨てどうもすることが出来ない。言葉の解らない支那人を眺めて、つくづく悄気切ったものだ。腹の空いた真似をして、膝をたたいてみせたりすぼめてみせたりすると、支那人は手を叩いて笑った。