Japanische Klassiker mit Furigana
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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Lesen Sie 草迷宮 (くさめいきゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.733 Zeichen · 142 Bildschirme
」
六
「魅入られたようになりまして、ぐっすり寝込みました嘉吉の奴。浪の音は耳馴れても、磯近へ舳が廻って、松の風に揺り起され、肌寒うなって目を覚ましますと、そのお前様……体裁。
山へ上ったというではなし、たかだか船の中の車座、そんな事は平気な野郎も、酒樽の三番叟、とうとうたらりたらりには肝を潰して、(やい、此奴等、)とはずみに引傾がります船底へ、仁王立に踏ごたえて、喚いたそうにござります。
騒ぐな。
騒ぐまいてや、やい、嘉吉、こう見た処で、二歩と一両、貴様に貸のない顔はないけれど、主人のものじゃ。引負をさせてまで、勘定を合わしょうなんど因業な事は言わぬ。場銭を集めて一樽買ったら言分あるまい。代物さえ持って帰れば、どこへ売っても仔細はない。
なるほど言われればその通り、言訳の出来ぬことはござりませぬわ、のう。
銭さえ払えば可いとして、船頭やい、船はどうする、と嘉吉が云いますと、ばら銭を掴った拳を向顱巻の上さ突出して、半だ半だ、何、船だ。船だ船だ、と夢中でおります。
嘉吉が、そこで、はい、櫓を握って、ぎっちらこ。幽霊船の歩に取られたような顔つきで、漕出したげでござりますが、酒の匂に我慢が出来ず……