Japanische Klassiker mit Furigana
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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Lesen Sie 草迷宮 (くさめいきゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.733 Zeichen · 142 Bildschirme
何となく賑かな様子が、七輪に、晩のお菜でもふつふつ煮えていようという、豆腐屋さ――ん、と町方ならば呼ぶ声のしそうな様子で。
さては婆さんに試されたか、と一旦は存じましたが、こう笠を傾けて遠くから覗込みました、勝手口の戸からかけて、棟へ、高く烏瓜の一杯にからんだ工合が、何様、何ヶ月も閉切らしい。
ござったかな、と思いながら、擽ったいような御門内の草を、密と蹈んで入りますと、春さきはさぞ綺麗でございましょう。一面に紫雲英が生えた、その葉の中へ伝わって、断々ながら、一条、蒼ずんだ明るい色のものが、這ったように浮いたように落ちています。上へさした森の枝を、月が漏る影に相違は無さそうなが、何となく婦人の黒髪、その、丈長く、足許に光るようで。
変に跨ぎ心地が悪うございますから、避けて通ろうといたしますと、右の薄光りの影の先を、ころころと何か転げる、たちまち顔が露れたようでございましたっけ、熟く見ると、兎なんで。
ところでその蛇のような光る影も、向かわって、また私の出途へ映りましたが、兎はくるくると寝転びながら、草の上を見附けの式台の方へ参る。
これが反対だと、旧の潜門へ押出されます処でございました。