Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなばなしきしゅんかん

華々しき瞬間

久坂 葉子

Lesen Sie 華々しき瞬間 (はなばなしきしゅんかん) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.114 Zeichen · 92 Bildschirme

Aozora Bunko

蓬莱和子は、時折楽譜をみながらピアノの傍で自分の声に酔っていた。

――私は、何といったって今宵の中心人物なんだわ。お杉だってそれに気付いて、内心私に嫉妬しているのだわ。あら、夫が私をみて頬笑んだわ。やっぱり私の美貌が得意なんだろう――

南原杉子は、ミスがないようにと忠実にひいた。

曲が終った時、相手をしたのは仁科たか子であった。彼女は、拍手をしなければならないものと、曲がはじまった時から待機の姿勢でいたのだ。

「音が狂ってますわ」

南原杉子は、三つ四つ、キイをたたいた。

「お杉ったら、どうしてピアノひけるって云わなかったの」

南原杉子は苦笑した。

「お杉、何かひきなさいよ」

「え、ひきますわ」

南原杉子は、そっけなく答えた。そして、しばらく静かにピアノをみつめていた。四人の男女は耳をそばだてた。

――阿難、かわいそうな阿難。あなたの愛している人は幸せな家庭をもっている人なのよ。たか子さんって人は大人しいいい方なのよ。阿難。あなた嫉妬してはいけないわよ。阿難、泣かないで。あなたの愛している人が苦しんではいけないからね――

彼女はひきはじめた。彼女の作曲である。