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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなばなしきしゅんかん

華々しき瞬間

久坂 葉子

Lesen Sie 華々しき瞬間 (はなばなしきしゅんかん) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.114 Zeichen · 92 Bildschirme

Aozora Bunko

テーマは出来ていた。彼女は、ひきながらヴァリエーションをつけてゆく。もう彼女の背後には、仁科六郎一人しか存在していない。弾いているのは阿難。

――お杉がピアノを弾く。お杉がうたをうたう。夫の前でうたったのだ。お杉と自分。若さ。才能。いや、私の方が。私は蓬莱建介の妻。妻の資格。お杉にはそれがないのだ。お杉はどんなにすぐれていても老嬢なんだわ――

蓬莱和子は、老嬢南原杉子を軽蔑した。軽蔑出来たのは、蓬莱建介の存在のおかげであるのだが。

蓬莱建介は、南原杉子の、立体的な側面の姿を眺めていた。だが、傍に、妻和子が居ることを心得ていた。だから、時折、妻和子の方をみることを忘れなかった。蓬莱和子の真珠の光沢は、彼に、南原杉子とのこれから先の関係を肯定しているようであった。

仁科たか子は、こんなにはやくいろいろの音の連続を出せるのかと、不思議に思った。

――ああ、阿難。ピアノをやめて、僕は狂いそうだ。阿難の感覚。阿難の作曲。阿難の音。だが、やっぱりつづけてくれ、いつまでも、僕は狂いそうだ――

仁科六郎は目を閉じていた。

高音部のトレモロ、マイナーのアルペジオ。