Japanische Klassiker mit Furigana
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もえぎいろのくき
萌黄色の茎
田中 貢太郎
Lesen Sie 萌黄色の茎 (もえぎいろのくき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.481 Zeichen · 9 Bildschirme
果して北村さんであった。お菊さんはちょっと気まりが悪かった。お菊さんはその晩は出前の番であった。
「魚のフライに、お見つくろいが二品、あわして三品でございますね」
「そうだよ、早く持って来ておくれよ、旦那が、今晩は外へ出るのもおっくうだから、家であがるって待ってるからね」
老婆はそのままひょろひょろとするように出て往った。お菊さんは庖厨の方へ往こうとしたが、学生やお幸ちゃんに顔を見られるような気がした。
「おめでとう、針工場さん」
お幸ちゃんに手をかけていた学生が笑った。
お菊さんは耳門を入ると右の手に持っていた岡持を左の手に持ちかえて玄関の方を注意した。青ざめたような光が坂の下に見る火のように下に見えていた。入って来た巷の工合から平坦な土地のように感じていたその感じを裏切られてしまった。そこにはたらたらと降りて往く坂路のような路があった。お菊さんは不思議な家だと思いながら脚下に注意しいしい歩いた。
萌黄色に見える火の光ともまた見ようによっては蓴菜の茎のようにも見えるものが、眼の前に一めんに立っているように思われてきた。そして、その萌黄色の茎は身だけよりも一層長く上に延びていて、それに手がかかったり頬が触ったりするように思われた。