Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

ある日、介山居士が名づけて「お銀様の桜」と呼んだ桜樹の下に縁台を持ち出して皆んなでお茶を呑んでいた時、「大菩薩峠」の朗読会をめいめい役をきめてやってみようという話が出た。村木さんは自ら竜之助の役を買って出た。田中さんの弁信法師は自他共に許すところ。鳴尾君はさしずめ清澄の茂太郎。さて私だが、その時介山居士がふと云った。

「小山君は与八がいいだろう。」

あの種も仕掛もない善玉の役を私に振ってくれたのである。なるほどと私は思ったが、

「僕はピグミーになりたい。」

居士はさりげない表情で、

「そう先っ走りをしてはいけない。」

「大菩薩峠」の読者は知っているわけだが、あの大長篇の中巻あたりに、ピグミーと呼ぶ一種の下等動物が出てくる。こいつはまことに下等なやつで、勿論人並にお袋の腹から生れ出るというわけにはまいらなかった。天井の節穴などから過って世の中に顔を出した哀れな代物である。眼もなければ口もないのに、胃袋は自尊と虚栄でパンクせんばかりに脹れている。こいつが時々思い出したように竜之助を挑みにくる。竜之助がとりあわないでいると、いつまでもへばりついていて、さかんに神経戦術を用いる。