Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いっぺいそつ

蒲団・一兵卒

田山 花袋

Lesen Sie 蒲団・一兵卒 (いっぺいそつ) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.948 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

新城町のもので、若い嚊があったはずだ。上陸当座はいっしょによく徴発に行ったっけ。豚を逐い廻したッけ。けれどあの男はもはやこの世の中にいないのだ。いないとはどうしても思えん。思えんがいないのだ。

褐色の道路を、糧餉を満載した車がぞろぞろ行く。騾車、驢車、支那人の爺のウオウオウイウイが聞こえる。長い鞭が夕日に光って、一種の音を空気に伝える。路の凸凹がはげしいので、車は波を打つようにしてガタガタ動いていく。苦しい、息が苦しい。こう苦しくってはしかたがない。頼んで乗せてもらおうと思ってかれは駆け出した。

金椀がカタカタ鳴る。はげしく鳴る。背嚢の中の雑品や弾丸袋の弾丸がけたたましく躍り上がる。銃の台が時々脛を打って飛び上がるほど痛い。

「オーい、オーい」

声が立たない。

「オーい、オーい」

全身の力を絞って呼んだ。聞こえたに相違ないが振り向いてもみない。どうせ碌なことではないと知っているのだろう。一時思い止まったが、また駆け出した。そして今度はその最後の一輌にようやく追い着いた。

米の叺が山のように積んである。支那人の爺が振り向いた。丸顔の厭な顔だ。有無をいわせずその車に飛び乗った。