Japanische Klassiker mit Furigana
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くらのにかい
蔵の二階
豊島 与志雄
Lesen Sie 蔵の二階 (くらのにかい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.351 Zeichen · 27 Bildschirme
久子もついて行った。
小さな竹が粗らに立ってる藪のはじの、朽葉のなかに、蔓が二本はえている。足がひょろ長く、傘が薄く、大きく全体に黄色みを帯びている。季節外れの見馴れない蔓だ。その蔓を、カヨは下駄で踏みにじり、あたり近所に塩をふり撒き、笊まで裏返してぱっぱっとはたいた。ひどく不機嫌そうで、久子の方をじろりと見たが、何とも言わずに立ち去ってゆく。
久子はなにか不吉な感じを受け、意外なことを思い出した。カヨは時とすると、桂一にお噺をしてきかせる。短い昔噺だが、訳の分らないへんなのもある。
――むかし、或るところにお化屋敷があった。荒れはてた庭に、大きな蔓がいっぱい生えている。それが化物だった。化物退治に、力の強い人や武芸の秀でた人が、次々に出かけたが、庭にはいると、大きな蔓の傘におっかぶせられ、その傘がじわじわ縮まってきて、息絶えてしまう。
勝つ者がなかった。ところが、一人の智恵者があって、塩をたくさん持って出かけ、蔓の上にふりかけると、蔓はしぼんでしまう。そしてみごとに、蔓の化物を退治してしまった。
わきから聞きかじったその噺を、久子は思い出した。