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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

約束の履行から出る快からぬ結果を思い出す。結果はまたも想像の力で曲々の波瀾を起す。――良心を質に取られる。生涯受け出す事が出来ぬ。利に利がつもる。背中が重くなる、痛くなる、そうして腰が曲る。寝覚がわるい。社会が後指を指す。

惘然として煙草の煙を眺めている。恩賜の時計は一秒ごとに約束の履行を促がす。橇の上に力なき身を託したようなものである。手を拱ぬいていれば自然と約束の淵へ滑り込む。「時」の橇ほど正確に滑るものはない。

「やっぱり行く事にするか。後暗い行さえなければ行っても差支ないはずだ。それさえ慎めば取り返しはつく。小夜子の方は浅井の返事しだいで、どうにかしよう」

煙草の煙が、未来の影を朦朧と罩め尽すまで濃く揺曳た時、宗近君の頑丈な姿が、すべての想像を払って、現実界にあらわれた。

いつの間にどう下女が案内をしたか知らなかった。宗近君はぬっと這入った。

「だいぶ狼籍だね」と云いながら紅溜の膳を廊下へ出す。黒塗の飯櫃を出す。土瓶まで運び出して置いて、

「どうだい」と部屋の真中に腰を卸した。

「どうも失敬です」と主人は恐縮の体で向き直る。折よく下女が来て湯沸と共に膳椀を引いて行く。