Japanische Klassiker mit Furigana
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じゃせいのしゅうねん
蛇性の執念
大倉 燁子
Lesen Sie 蛇性の執念 (じゃせいのしゅうねん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.981 Zeichen · 38 Bildschirme
私は変だなと、心に思いました。
『ちょいと拝見』
無雑作にいって、お梶さんの手から写真を取って見ました。処々汚点が出たり、色が変ったりして大分古ぼけてはいますが、顔の処だけははっきりとしていました。古風な椅子に腰かけている若い女の傍に、倚り添うようにして一人の青年が立って居ます。女は文夫さんの母君、御木井男爵夫人と直ぐ分りました。男の方は父君男爵ではありませんでしたが、私はその顔を見て吃驚しました。それは忘れようとしても忘れられない、あの昨日の朝アパートのエレベーターの前で見た気味の悪い男、その男の顔そっくりではありませんか。しかし私は何気なく申しました。
『文夫さんのお母様、ほんとにお美しいお方でしたのねえ。そしてこの方はどなたなの?』
綾子さんはこの男は誰だか知らないと見えて、お梶さんの顔を見て云いました。
『梶、どなたなの?』
『叔父様でいらっしゃいます。大旦那様の弟ご様で――』
お梶さんは重苦しい調子でいって、深い溜息をつきました。
叔父様だと聞いて、綾子さんも急に写真を見直しました。
『印度に往って入らっしゃる叔父様なの?』
『はい』
『梶、私は叔父様のお写真ってもの今まで拝見した事がなかったのよ。