Japanische Klassiker mit Furigana
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じゃせいのしゅうねん
蛇性の執念
大倉 燁子
Lesen Sie 蛇性の執念 (じゃせいのしゅうねん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.981 Zeichen · 38 Bildschirme
その新聞には昭和七年と書いてありますから、その時多分新郎の御木井武雄さんが二十七歳、新婦の綾子さんが二十二歳だったんですわね」
「新夫人はどちらから?」
「政友会の山科さんのお嬢さんです。山科さんは以前南洋方面にも大分目をつけていた関係上、私の夫とも相当親しくしていらしたので、夫が亡くなりますと間もなく、山科さんから招かれて、私は綾子さんの家庭教師になり、一年ばかり山科家の家族達と一緒に暮したことがございました。それは綾子さんと武雄さんとが結婚されるずっと以前のことなのです。さあそろそろお話の本筋に入りましょうかね」
S夫人はチェリー・ブランデーを一口呑んでから、静かな語調で話し始めた。
「綾子さんが武雄さんと結婚するそうだ、そんな噂を耳にした時から、私は不満で不満でたまらなかったのです。どうぞまあ噂だけであって欲しいと希っていたほどでしたから、お祝いにもまいりませんでしたし、遂々披露会にも出席いたしませんでした。処が翌朝の新聞には麗々しく二人の写真までこの通り出ていたので、すっかり気を悪くしてしまいました。
何故この結婚をそんなにまで不愉快に思うかというには理由があるのです。