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Japanische Klassiker mit Furigana

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しじみだに

蜆谷

山本 周五郎

Lesen Sie 蜆谷 (しじみだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.957 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

そんなもので節期の払いができるわけはない、手に取った米を右から左へ、一粒も余さず渡して、なお田地を少し売らなければならなかった。西畑では老父が中気で寝たきりだし薬代というものがあるためもっとひどかった。

「売る物があるうちは売って食った。それがなくなったからとて食べずにはいられない。お八重さんと相談して、畑に出来る物を御城下へ背負っていった、手作りの簗でうなぎや鮒をとって持ってったこともある、秋から春のかかりまでは蜆だ、……蜆は侍長屋でいちばんよく売れた。そうすると村の衆がかってにとっちゃいけないと云いだした。おまえも知っているだろう、蜆谷の蜆は、この家の三代前弥兵衛という御先祖さまが堅田から移したもんだ、二本柳から横橋までの五町が活け場になっている、その五町の上下に標を打って、村で定めた者の他は水へはいってもいけないと云うんだ、……しかたがない、あたしとお八重さんは二本柳の上までとりにゆくのさ、雪が降ろうと風が吹こうと、暗いうちに起きて、あの道を二十町ものぼって蜆をとるだ、それから、片みち二里の御城下へ売りにゆくだ、そうして稗粥さえすすれない日が幾たびもあったものだ」