Japanische Klassiker mit Furigana
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われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.726 Zeichen · 90 Bildschirme
八分間というみじかい時間は此処では私の眼に一分二分というふうに大幅に刻まれ、刻まれた一二分の間が遥かに伸びていって、いくら経っても一分しか経っていない永さであった。こういう時はおんなのことを考えるのが一等だという考えで、私はおんなのことをあれこれと頭にうかべたが、うかべたおんなは考えの中で迅いすがたで直ぐ次へと移行して、あわてて考え終ったおんなを取り戻そうとしている間に、次のおんなの人に及ばねばならなかった。しかもその人はわずかな間に次のおんなにかわってゆくという予想外の早さであった。私は時計を見たがただの二分しか経っていない、後にのこる六分間というものにまた後戻りして、先刻のおんなの人にまた出て貰わなければならない始末であった。この間に咳はむせ返って来てもからだを動かすことが出来ないのだ。枕被いを剥いてそれに吐瀉物を拭き、海鳴りの変化に時間を知ろうとしたが、まだ海鳴りは先刻とおなじ同音であった。腕時計はずり寄って手首の腹の方に廻り、私は人がいないので唸るのが一等よいと思い、唸りつづけた。警笛が鳴って八分三十秒にとどいたときに私にはもうおんなの人は一人も見えていなかった。