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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

今は中からは人声は聞こえず、周囲の、叫喚、怒号、剣戟の響きを嘲笑うかのように、この、多量に人間の血を浴びた長方形の物像は、木立ちと木立ちとの間に手を拡げ、弛んだ裾で足を隠し、静かに立っている。吸っても吸っても血に飽かないこの怪物は、これまでも随分血を吸ったが、今日こそはそれにも増して、充分に吸うぞというかのように、静かな中にも胴顫いをさせている。そう、微風につれて、ゆるやかな弛みを作ったり、幽かな襞を作ったりしているのであった。裾の一所に、背を光らせた蜥蜴がいて、這い上がろうとし、短い足で紙帳を掻いているのも、魔物めいていて不気味であった。

と、その紙帳目掛け、松五郎なのであろう、一人の乾児が、抜き身を引っさげたまま、仲間の群から駈け抜け、走り寄るのが見えた。が、その体が紙帳へ寄り添ったと見えた瞬間、悲鳴が起こり、丸太のようなものが一間ばかり飛び、足を股から斬り取られた松五郎が、鼠煙火のように地上をぶん廻り、切り口から、龍吐水から迸る水のように、血が迸り、紙帳へかかるのが見えた。

すぐに紙帳の裾がパックリと口を開け、そこから身を斜めにし、刀を袖の下にした、痩せた長身の左門が、ソロリと潜り出て来た。