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Japanische Klassiker mit Furigana

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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

Lesen Sie 街頭から見た新東京の裏面 (がいとうからみたしんとうきょうのりめん) von 杉山 萠円 (すぎやまほうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.546 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、まさか丸一年も経った今日この頃まで、こんなにおいがする筈はないと疑っていたが、この辺へ来て見るといかにも間違いないと思った。この辺にあった死骸はみんな半焼けになっていたので、腐りかねているのかも知れないが、とにかくいい気持ちでない。その酢っぱい腥いにおいは、バラックの生々しい赤や青の屋根の間を仄かに漂うて、云うに云われぬイヤラシイ深刻な気分を作っている。小雨の降る夜中なぞはとても平気で通れまいと思われるような処もある。

序に書いておくが、この辺は震災前まで「河向う」と云われていた……今でも河向うには相違ないが……日本橋、京橋、神田なぞいう江戸ッ子の本場で商売をしくじった連中の逃げ込み処であった。しかも一度この「河向う」へ落ちて来た江戸ッ子は、二度と再びこの河を越えて一旗揚げた例がない……「河向う」という言葉と「絶望」という言葉とは、場合によって同じような意味に使われている位であった。極端に意味を強めて云えば、「河向う」は「生きた江戸ッ子の墓場」であった。

然るに昨年の九月一日夜の大火は、そこを最も猛烈に焼き立てて、あれだけの死骸の山を築いた。