Japanische Klassiker mit Furigana
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らしんのにょせん
裸身の女仙
野村 胡堂
Lesen Sie 裸身の女仙 (らしんのにょせん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.437 Zeichen · 29 Bildschirme
が、命がけで、そんな事を教えてくれた源吉が、野良犬のように斬られて、悪名まで被せられたことを考えると、何んな事をしても、鬼子母神で待って居るという浪人者に逢って五年の間、自分を捜し廻ったという用事や、自分の素性の事を聞かずには居られないような心持になって居るのでした。
暑い日の昼下りから、紺色の日傘に、赤い髪を隠したお鳥はお石という腹心の下女を一人伴れて、雑司ヶ谷の鬼子母神の境内へ入って来ました。
「あ、御新造様、あれは何んで御座いましょう」
お石の頓狂な声に驚かされて、石畳の上にお鳥は立ち止ります。
「あッ」お石に指さされて、一と目、お鳥も立ち竦みました。
右手の茶店、名物芋団子やら、焼鳥やらを食わせる家の、奉納の手拭の幾本かブラ下ったあたりに二尺に一尺五六寸の、今まで見たことも無い、不思議な絵がブラ下って居るのです。
油絵の具で描いて、唐紙模様を彫んだ広い縁の額に入れた絵――それだけでも充分変って居るのに描かれた絵というのは、赤い髪、碧い眼、鼻が高くて、顎の円い、お鳥そっくりの女、羽根のような白い着物を着て、紅い唇が、ほのかに微笑に綻びかけて居る様子まで、お鳥そのままの美しい姿だったのです。