Japanische Klassiker mit Furigana
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スペインのこい
西班牙の恋
国枝 史郎
Lesen Sie 西班牙の恋 (スペインのこい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.387 Zeichen · 49 Bildschirme
こう云って検事は左の手に――死んでいる兄が左の手に尚も握っている銀笛を指差し乍ら訊きました。
私は、執つこい尋問に、この時焦心きって居りましたし、兄が昨晩並木道で乞食から貰った銀笛だなどと、よしや私が云った所で迂散に思われるに違いない! 第一、私達の家柄として、乞食から物を貰ったなどと、他人に思われるのも厭でしたから、遂、斯う云って了いました。
「ええ是は兄の銀笛です」
「屹度兄さんは是を吹いて、昨夜は遅くまで寝ようともせず、此処に腰掛けて居られたのでしょう。それを、窓外から硝子を破って、ピストルを放ち込んだというものでしょう。ほんとに家中の皆様が其音を聞かれたというのなら……」
「それは確でございます。ピストルの音にでも驚かなければ、家中の者が一時に眼醒めるようなことはございません」私は強く云いました。
「それにしても、屍骸の何処を見ても弾痕の無いのは不思議ですな」
「それでも兄さんは死んでいます! 死んでいるのが証拠です!」
「それでは、或は、こうかもしれぬ――拳銃の弾は当らなかったが、すぐ耳元で爆発する恐ろしい物音を聞いたので、それで兄さんはハッとして、突然心臓に故障を起し、逝くなられたのかも知れませんな。