Japanische Klassiker mit Furigana
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スペインのこい
西班牙の恋
国枝 史郎
Lesen Sie 西班牙の恋 (スペインのこい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.387 Zeichen · 49 Bildschirme
それにもう一つ、この私が、ダンチョン氏の嫌疑を晴らそうため、ゴッサンを捕らえてマドリッド市へ護送しようと思っていた心を、彼女が早くも観破して、それを嫌ったのとが一緒になり、彼女の良心を刺戟して、自殺の覚悟をさせたのでした。
其夜、私とゴッサンとは、そうやって切株へ腰をかけて、いろいろ話をした末に、一先別れたのでございます。帰る時彼女が云いました。「今夜一晩だけ銀笛を私に貸して下さいな」「これか」と私は云い乍ら、手に持っていた銀笛を――つまり二人の命を取った、毒のついている銀笛を、何気なく彼女に渡しました。その銀笛は此私が、マリア姫の室から持って来た大事な証拠の品でして、其夜も私はその笛をゴッサンの眼の前へ突き出して、確めさせた程でした。
その笛を貸せと云うのです。
私はうっかり貸しました。まさか彼女が其笛を吹いて、ムリオ様やマリア姫と同じように、歌口に着いている毒薬のために、自殺するつもりであろうなどとは、夢にも思わなかったからでした。
ところが、其夜、夜が更けて、人々がみんな寝静まった時、ゴッサンの天幕から微妙な音色が、聞えて来るではございませんか。