Japanische Klassiker mit Furigana
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おやがすてられるせそう
親が捨てられる世相
Lesen Sie 親が捨てられる世相 (おやがすてられるせそう) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.326 Zeichen · 15 Bildschirme
戦争中はほかに楽しみもなかったので、私はよく碁会所のお世話になった。
若い人は戦争に行ってるから、常連の多くは年配の人であったが、後日に至って「すてられる親たち」の様相はそのころから私の目につくようになった。彼らの多くは、かなり教養の高い人でも、概ねステバチになっていた。働かざるもの食うべからず、ゴクツブシ、というような思想が――思想よりも強力な制度が、たとえば配給量という当時の最も切実なものの上で「お前はゴクツブシ」だという無言の審判を押しつけてくる。
あのころは、まるでもう配給量が人間の値打を規定していたようなものだ。老人が孫の特配を盗んで野良猫のような罵倒をうける例は近隣でしばしば見かける風景であった。
碁会所の常連に一人の老人があった。半生外地で会社勤めをして、老後を東京で暮す計画をたてて、そしてそれを設計通りに実行した人である。
東京に三四千円の家を造り、子供たちにもそれぞれ高等教育をさずけ、退職して東京へ移住し、隠居生活をはじめた時には二万五千円の貯蓄があった。しかし、主食のヤミ値がつり上がるにつれて彼の動揺は深刻であった。
「四十何年も汗水たらして、歯をくいしばるようにして貯えた二万五千という金が、このさき二年間もつかどうか。