Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
『それじゃ五十銭出そう』と申しますと、『診察料はお負け致します。その代り新しいのをお誂えなさい』という談判です。考えて見ると彼処へは直しにやるばかりで註文したことがありません。親爺、それが日頃から癪に障っていたんですな。結局一足註文して逃げて来ましたよ。や、これは又無駄話を始めました。それではお大切に」
と気がついて、佐久間さんは帰って行った。
この先生は、正月早々から二週間毎日来た。お母さん丈けだと然うでもないが、お父さんが居合せると種々の余談が出る。絹子さんが苦しがったので夜分再度の来診を頼んだ時、佐久間さんは矢張り手が放せないということだったが、後刻赤い顔をして駈けつけた。斯ういう折からは殊に元気が好い。
「耳下腺のところが大変痛むようです」
とお父さんは度々の御足労に対して言訳らしく説明した。
「ははあ、又腫れましたな。これでは多少痛みましょう。扁桃腺炎ばかりでなく、俗にいうお多福風です。妙齢の婦人としてはお気の毒なお顔になりました」
と佐久間さんは一向驚かない。
「頬が腫れたでしょう?」
と頻りに気にするのを、
「いいえ、そんなでもありませんよ」