Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
と窘めて、絹子さんは行ってしまった。訊く丈け訊いて、実に手前勝手だ。
縁談中の女性はこれで可なり観察したから、今度は男性を研究しようと思って、僕は或日四谷へ電話をかけた。
「芳夫さんですか? はあはあ。僕、大内です。源太郎です。いや、何う致しまして。時に芳夫さん、甚だ恐れ入りますが、お願いがあるんです。ええ、もう入学試験が近づいて毎日大車輪ですが、代数が分らなくて困っていますから……ええ、代数ですよ……お閑の時に一晩教えて戴けませんでしょうか?」
「よし、今から直ぐ行く」
「いいえ、お出下すっては恐縮ですから、此方から伺います。明晩あたり……もしもし、もしもしもし、もし、もし」
といくら言っても返答のないのは、もう切ってしまったのである。実に気が早い。観察するのに来て貰っては気の毒だから、僕はもう一遍かけ直した。
「もしもし、畑さんですか? 僕、大内ですが、芳夫さんにもう一度電話口までお出を願います」
「一寸お待ち下さい」
と矢張り先刻の女中だった。
「はあ」
と待つこと少時にして、
「もしもし、若旦那さまは急用がございまして、もうお出掛けになりました。実は門まで追って参ったんですが、丁度電車に飛び乗りをなすったところでございましたの」