Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
という返事。
「然うですか。そんならもう宜いです。有難う。さよなら」
と僕は可笑しくなった。
それから一時間とたたない中に玄関で声がした。僕が出て行ったら芳夫さんはもう茶の間へ上り込んで、
「やあ源太郎さん、代数を見に来たよ」
と彼方此方見廻していた。茶の間に代数はいない。
「まあ! よくお出になりましたね」
とお母さんが台所から現れた。
「叔母さん、今日は家庭教師です。源太郎さんが代数を見てくれって電話をおかけになったから、急いで参りました」
と芳夫さんは誤解のないように断った。郁子と敏子も挨拶に出たが、絹子さんは姿を見せなかった。
「僕の方から伺う積りだったんですが……」
「いや構わないよ。銀行をやめて閑だからね。何なら毎日見に来ても宜い」
「それでは早速願いましょうか?」
と僕は芳夫さんを離れへ案内した。
「やあ、芳夫さん、よくお出下さいました」
と縁側で蘭の鉢を弄っていたお祖父さんが言葉をかけた。
「お変りもございませんか? 今日は源太郎さんの代数を見に上りました」
と又断って、芳夫さんは僕の勉強部屋へ入った。
「随分早かったんですね?」
と僕は内心恐縮していた。