Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
「軍人は儲からないぞ」
「先生も儲からない」
とあって、この二つは今のところ殆んど志望者がない。
「商売が一番儲かる」
とは衆議の一致するところで、会社銀行の使用人になりたがるものが一番多い。中には家が誂え向きに商家だから、再来年卒業するともう直ぐ儲けに取りかかる決心のものもある。兎に角一番儲かることを考えながら、皆一生懸命で勉強している。
周囲がこんな風だから、僕は益※(二の字点、1-2-22)刺戟されて遠い先の職業問題に鋭敏になる。お父さんにお客さんを取次ぐにも名刺の肩書に注目して、これは儲かる商売か知らんと思う。電車に乗っていても、車掌運転手募集の広告を見て、苦しい割合に余り儲からない仕事だから気の毒と考える。
「あの男は三井へ入ったよ。迚も大きなところへ入るような腕はないんだが、手引があって裏門から入ったんだね。もう一人蟇公って男がいたろう?」
「いたいた。獰猛な奴さ」
「彼奴は安田へ入った」
「皆金のあるところへ入るね。川口は三越を狙っていやがったが、この間到頭入ったよ」
というような乗客同志の会話も、以前なら強盗の連類と解釈して恐れを為すところが、昨今ではその頭になっているから、直ぐに就職の問題と合点が行く。