Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
「いや、争われないものさ。何を食っても二人前が漸くだからね」
「二人前いければ沢山じゃありませんか?」
「もとは三人前だったが、この頃は物によると二人前が怪しい。人間も食えなくなっちゃ駄目だよ」
「理想が高いんですな。私なぞは一人前が漸くで、それが食べられない時には何うかしているんです」
「そこさ。要するに人間は食えるか食えないかの問題だね。無暗に食った時代には一晩や二晩徹夜しても平気だったが、この頃は能率が下ったよ」
と大男は至極簡単な人生観を持っている。
「今でも随分御元気じゃありませんか?」
と若い方は下僚と見えて言葉使いが丁寧だった。
「いや、昔日の面影なしさ。早い話が、風邪をひいても、こんなに何時までもぬけない。ゴホン、そら、咳が出たろう? 以前は牛肉を一斤食って熱燗を一本ひっかければ直ぐに治ったものだ」
「豪傑でしたな」
「その頃は君の方の課長の川口君と我輩が両大関さ」
「川口さんこそ昔日の面影がありませんな」
「我輩より二ツ三ツ上だもの。能率がグッと下っている。あれ丈けの元気があったから、あれまで漕ぎつけたのさ」
「この頃の人間は迚も課長級まで出世が叶いませんな」