Japanische Klassiker mit Furigana
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かいのあなにかっぱのいること
貝の穴に河童の居る事
泉 鏡花
Lesen Sie 貝の穴に河童の居る事 (かいのあなにかっぱのいること) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.260 Zeichen · 32 Bildschirme
」
「ヒ、ヒ、ヒ、空ざまに、波の上の女郎花、桔梗の帯を見ますと、や、背負守の扉を透いて、道中、道すがら参詣した、中山の法華経寺か、かねて御守護の雑司ヶ谷か、真紅な柘榴が輝いて燃えて、鬼子母神の御影が見えたでしゅで、蛸遁げで、岩を吸い、吸い、色を変じて磯へ上った。
沖がやがて曇ったでしゅ。あら、気味の悪い、浪がかかったかしら。……別嬪の娘の畜生め、などとぬかすでしゅ。……白足袋をつまんで。――
磯浜へ上って来て、巌の根松の日蔭に集り、ビイル、煎餅の飲食するのは、羨しくも何ともないでしゅ。娘の白い頤の少しばかり動くのを、甘味そうに、屏風巌に附着いて見ているうちに、運転手の奴が、その巌の端へ来て立って、沖を眺めて、腰に手をつけ、気取って反るでしゅ。見つけられまい、と背後をすり抜ける出合がしら、錠の浜というほど狭い砂浜、娘等四人が揃って立つでしゅから、ひょいと岨路へ飛ぼうとする処を、
――まて、まて、まて――
と娘の声でしゅ。見惚れて顱が顕われたか、罷了と、慌てて足許の穴へ隠れたでしゅわ。
間の悪さは、馬蛤貝のちょうど隠家。――塩を入れると飛上るんですってねと、娘の目が、穴の上へ、ふたになって、熟と覗く。