Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かいなべのうた
貝鍋の歌
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 貝鍋の歌 (かいなべのうた) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.770 Zeichen · 4 Bildschirme
北海に愚魚あり
その名をほっけという
肉は白きこと雪片を欺き
味はうすきこと太虚に似たり
一片の三石の昆布
一滴のうすくちの醤油
真白なる豆腐に
わずかなる緑を加う
くつくつと貝鍋は煮え
夜は更けて味いよいよ新たなり
まだ子供たちが幼かった頃、うまくだまして、早く寝つかせた夜は、奥の六畳の長火鉢で、よく貝鍋をつついた。
住みついてみると、北海道の冬は、夏よりもずっと風情がある。風がなくて雪の降る夜は、深閑として、物音もない。外は、どこもみな水鳥のうぶ毛のような新雪に、おおいつくされている。比重でいえば、百分の一くらい、空気ばかりといってもいいくらいの軽い雪である。どんな物音も、こういう雪のしとねに一度ふれると、すっぽりと吸われてしまう。耳をすませば、わずかに聞こえるものは、大空にさらさらとふれ合う雪の音くらいである。
こんな夜は、長火鉢に貝鍋をかけ、銅壺に酒をあたためて、静かで長い夕食をとる。貝鍋の魚には、いろいろためしてみたが、けっきょく一番安くて、一番味のない、ほっけに落ちついた。
これは磯魚であって、鱈の子供が、親にはぐれて、陋巷にすみついたような魚である。